今回は超基本的な半導体のしくみについて解説していきます。
半導体素子である、トランジスタとダイオードについて解説します。
※ 前回、半導体とは何なのか?についてお話させていただきましたが、今回はその続きです。
半導体デバイスの全体像
現在、半導体デバイスは様々な種類があります。
多種多様な半導体ですが、「トランジスタ構造による分類」、「集積密度による分類」、「用途による分類」etc…と分類の方法すら様々です。
まずは、一般的な分類としてWSTS(World Semiconductor Trade Statistics:国際半導体市場統計)という組織による分類として、ざっくり下記で理解します。
![](https://ganfreeimages.com/wp-content/uploads/2022/02/2022-02-20_17h53_40-2-800x240.png)
分類だけでもかなり複雑ですよね・・・
今回はその中でもディスクリート(個別半導体)の中のトランジスタ、ダイオードについて解説していきます。
ディスクリート(個別半導体)とは、1つの半導体素子のみで構成されるチップのことです。
つまり、 半導体の素(もと)ですね。
トランジスタ
1947年 トランジスタの発明
半導体 の原始はトランジスタです。
トランジスタができる前は電子制御には真空管が使われていましたが、小型化が難しく、消費電力が大きいという欠点がありました。
1947年にAT&Tベル研究所のJ.バーディーン、W.ブラッテンが点接触式トランジスタを発明しました。翌年1948年にはW.ショックレーらが研究を進め、接合型トランジスタというものを発明しました。
では、トランジスタって何者なんでしょうか?
トランジスタってなに!?
写真を見てみましょう。
写真の部品1個がトランジスタです。3本足があるのが特徴です。
![](https://ganfreeimages.com/wp-content/uploads/2022/02/transistors-ga3717248a_640.jpg)
トランジスタには3本の足がありますが、それぞれエミッタ(E)、コレクタ(C)、ベース(B)となっています。
![](https://ganfreeimages.com/wp-content/uploads/2022/02/2022-02-13_17h48_07.png)
トランジスタは電気の流れをコントロールする半導体です。
多くの電子回路で使用されており、下記の機能を持っています。
・電気信号を大きくする ”増幅機能”
・電気を流したり止めたりする ”スイッチング機能”
トランジスタを水道管で例えると下記の図のような感じです。
![](https://ganfreeimages.com/wp-content/uploads/2022/02/2022-02-13_18h11_19.png)
コレクタからエミッタに流れようとする電流(≒水道管)に対して、ベース(≒バルブ)に微弱な電流を流すことで、大きな電流をコントロールすることが可能です。
→ 増幅機能
強弱を制御せず、0か1かの制御も可能です。
→ スイッチング機能
トランジスタのしくみ(3コマ解説!)
トランジスタの役割がわかったところで、仕組みを見ていきましょう。
今回はNPN型のトランジスタで解説していきます。
![](https://ganfreeimages.com/wp-content/uploads/2022/02/2022-02-21_19h35_17.png)
① トランジスタは+の性質を持つP型半導体と-の性質を持つN型半導体をつなぎ合わせた構造です。
図では+の正電荷(正孔)、-は負電荷(電子)を表しています。
![](https://ganfreeimages.com/wp-content/uploads/2022/02/2022-02-21_19h35_30.png)
② この状態で電圧をかけると・・・
正電荷(+)と負電荷(-)が引き寄せられて移動しますが、電気のない部分ができるため、エミッタとコレクタの間に電気が流れません。
![](https://ganfreeimages.com/wp-content/uploads/2022/02/2022-02-21_19h35_47.png)
③ そこで、エミッタとベースの間に電圧をかけると・・・
エミッタとベースの間で正電荷(+)と負電荷(-)が打ち消しあいます。
→ ベースから電気が入ってくることができるので、エミッタ→ベースの間を電気が流れることができます。
エミッタからの負電荷(-)は電子の流れの勢いでコレクタの方まで流れることができるようになります。
これにより、エミッタとベースの間に、ほんの少し電気を流すだけで、エミッタ→コレクタに大きな電流を流すことができます。
ダイオード
ダイオードって何?
まずは、写真を見てみましょう。
![](https://ganfreeimages.com/wp-content/uploads/2022/02/diode-800x600.jpg)
ダイオードは電気の流れを一方通行にする部品です。
同じ意味ですが、片方の向きには電流を流すけど、逆方向には電流を流さないという特徴を持っています。
また、この特徴を利用して、下記のような働きをします。
・電気の流れを整える
・電圧を一定にする
・検波する
またまた水で例えると、ダイオードは下記のような感じです。
![](https://ganfreeimages.com/wp-content/uploads/2022/02/2022-02-21_21h09_53-800x367.png)
ダイオードは”弁”の役割をします。
ダイオードのしくみ(3コマ解説!)
ダイオードの役割がわかったところで、仕組みを見ていきましょう。
![](https://ganfreeimages.com/wp-content/uploads/2022/02/2022-02-21_20h13_13.png)
① ダイオードはトランジスタのときに出てきたP型(プラスの性質を持つ)半導体とN型(-の性質を持つ)半導体を接合したものです。
P型半導体の電極をアソード(A)N型半導体の電極をカソード(K)と言います。
![](https://ganfreeimages.com/wp-content/uploads/2022/02/2022-02-21_20h13_24.png)
② アノード側に-、カソード側に+をつなぐと、半導体の中の正電荷(+)は-側に、負電荷(-)は+側に引き寄せられます。
真ん中に電気のない部分が生まれ、電気が流れません。(逆方向)
![](https://ganfreeimages.com/wp-content/uploads/2022/02/2022-02-21_20h13_37.png)
③ アノード側に+、カソード側に-をつなぐと、正電荷(+)と負電荷(-)が真ん中で打ち消しあいます。
電極側から電気が入ってくることができるため、電気が流れます。(順方向)
おわりに
かなり簡単にはなりますが、半導体の解説第二弾でした。
今後ももう少し踏み込んだ、最新の情報なども届けていければと思います。
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